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室伏有終銅「これが最後かも」/陸上

雄たけびを上げる室伏(撮影・たえ見朱実)
雄たけびを上げる室伏(撮影・たえ見朱実)

<ロンドン五輪:陸上>◇5日(日本時間6日)◇男子ハンマー投げ決勝

 男子ハンマー投げの室伏広治(37=ミズノ)が、不可解な判定にも負けず、銅メダルを獲得した。1本目に60秒の「タイムオーバー」でファウルを取られたが、冷静に3投目に78メートル71を投げた。80メートル59を記録したクリスティアン・パルシュ(ハンガリー)に優勝はかっさらわれたが、04年のアテネ大会の金メダルに続く2大会ぶりのメダルを手にした。東日本大震災の被災地に約束したメダルを届ける一方で、「これが最後の五輪かも」とも口にした。

 いきなりケチがついた。勝負の行方を占う室伏の1投目。78メートル前後まで飛んだが、審判から「ファウル」の旗が上がる。60秒を超える「タイムオーバー」。投げる直前に表彰式が入り、競技は一時中断。再開の合図を待って投げたが、時間切れだった。室伏は審判に詰め寄り、説明を求めたが、判定は変わらなかった。

 2投目に78メートル16を記録。その後、別の選手が投げたハンマーがケージの網に引っかかり、試合は15分間中断。それでも室伏は冷静だった。3投目に78メートル71をマークして3位に浮上した。唯一の80メートル台はパルシュの1投のみ。一発逆転をかけた6投目。男子100メートル決勝で再び中断する中、室伏は地面に大の字になり、途切れそうな気持ちを集中させた。だが力は残っていなかった。76メートル47。期待された金はならなかった。

 1投目の違反について、室伏は「名前が呼ばれてから1分ですが、表彰式の国歌斉唱が終わった時点からなのか、表彰台から選手が下りたところからなのか、あいまいだった」と説明。それでも、不満の色はおくびにも出さず「多くのみなさんの声援もあった。メダルが取れてよかった。チーム室伏として一丸となって取り組んできた成果」と納得した様子で話した。

 被災地に約束したメダルだった。昨年6月、被災地の宮城県石巻市の門脇中学を訪れ、陸上教室を開いた。それを機に交流。昨年の世界選手権には生徒が寄せ書きした日の丸が贈られた。毎日ながめることで競技への意欲を高め、金メダルをつかんだ。そして今回も多くの声援を背に、銅メダルを得た。世界のメディアが集まる会見場で「この銅メダルを被災された東北の方々にささげたい」。IOC(国際オリンピック委員会)アスリート委員にも立候補する知性派は、そう言って胸を張った。

 37歳の今も世界のトップで戦うが、もちろん今後への不安はある。「自分の年齢に勝てたことを誇りに思う」と言う一方で、「これが最後のオリンピックになるかも」。来年モスクワで開かれる世界選手権への出場は決まっているが、その先の見通しは立たない。「有終の美」を覚悟したかのような発言だった。【佐藤隆志】

 ◆室伏広治(むろふし・こうじ)1974年(昭49)10月8日、静岡県沼津市生まれ。アジア大会ハンマー投げで5連覇した父重信氏の英才教育を受け、千葉・成田高1年から本格的にハンマー投げを開始。00年シドニー五輪9位。01年世界選手権銀、03年世界選手権銅、04年アテネ五輪金メダル、08年北京五輪は5位、昨年世界選手権優勝。自己ベストは84メートル86(世界歴代5位)。昨春から中京大スポーツ科学部准教授。187センチ、99キロ。

 [2012年8月7日9時11分 紙面から]



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