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北島 金タッグ再結成

練習中、平井ヘッドコーチ(右)のアドバイスを聞き入る北島(撮影・たえ見朱実)
練習中、平井ヘッドコーチ(右)のアドバイスを聞き入る北島(撮影・たえ見朱実)

 競泳男子平泳ぎの北島康介(29=日本コカ・コーラ)が競泳史上初の3大会連続2冠へ、日本代表・平井伯昌ヘッドコーチ(49)との「黄金タッグ」を再結成した。北島は23日夕(日本時間24日)、水泳センターでの練習に現れ、北京五輪まで師事していた平井氏の熱血指導を受けた。同氏は「カチっとはまってきた」と合格点を与え、一夜明けた24日にも「1回よくなれば元に戻ることはない」と太鼓判。最強コンビの復活で、北島は満を持して偉業に挑む。

 ロクテ、フェルプスらスター選手が集うプール。五輪ムードが高まる中、北島を指導する平井コーチの姿があった。ストップウオッチを手に「ヨーイ、ハッ!」。かけ声に合わせて泳ぐ。平井コーチは鋭い視線を投げかけ、プールサイドを歩く。水中から北島が真剣なまなざしで問いかけると、平井コーチは身ぶり手ぶりでアドバイスした。

 同じプールには、北島を米国で指導するサロ・コーチの姿もあったが、2人だけの時間が流れる。アテネ、北京と2大会連続2冠の師弟が、ロンドンで再び手を取り合った。プールから上がった北島の表情はすこぶる明るい。平井コーチは両手を合わせるジェスチャーで「カチっ、カチっとはまってきた。だいぶ、いいと思います」。満面の笑みを浮かべ、会場を去った。

 北島は北京五輪後、中学2年から続く平井コーチとの師弟関係を解消し、拠点をロサンゼルスに移した。南カリフォルニア大を率いるサロ・コーチに師事。すべて平井コーチの指示に従ったやり方をあらため、自ら考える自主的な取り組みでロンドンを目指した。だが、大一番を前にした最終チェックとして、北島は平井コーチの目を信頼した。

 くしくも23日の午前練習後、平井コーチはロンドンで合流した北島についてこう話していた。「疲労からか、しっくり感がまだない。最後にカチっとはまる部分を模索しているのかな」。昨年の世界選手権の100メートル。手のかきとキックがかみ合わず、4位と惨敗した。平井コーチは日本代表ヘッドの立場から北島に歩み寄り、2日間付き添い、泳ぎを修正。突貫工事ながら200メートルでは銀メダルに導いた。平井コーチは「お互いに考えていることが分かる」。最強コンビ再結成は、自然の流れだった。

 一夜明けた24日。本番会場に北島の姿はなかったが、平井コーチは前日の内容について、頭の突っ込みが早かった部分を修正したと説明した。そして「手のひらに力が入っていると指摘したら『腕が力んでいるからですかね』と言っていた。1回よくなれば、もう元に戻ることはないよ」。恩師の後ろ盾を受け、北島にもう迷いはない。【佐藤隆志】

 ◆平井伯昌(ひらい・のりまさ)1963年(昭38)5月31日、東京・駒込生まれ。早稲田中・高を経て早大。在学中に選手からマネジャーに転向。卒業後に東京スイミングセンターに入社。96年から男子平泳ぎの北島康介を指導し、04年アテネ、08年北京で五輪2大会連続2種目金メダルへ導く。現在は日本代表ヘッドコーチ、日本水連競泳委員。家族は妻と長女。

 [2012年7月25日8時39分 紙面から]



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