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恭子以来のビックリ!聡美銅/競泳

3位に入賞した鈴木は、うれしそうに銅メダルを口元に寄せた(撮影・たえ見朱実)
3位に入賞した鈴木は、うれしそうに銅メダルを口元に寄せた(撮影・たえ見朱実)

<ロンドン五輪:競泳>◇7月30日(日本時間同31日)◇女子100メートル平泳ぎ決勝

 競泳女子平泳ぎに、92年バルセロナ五輪の岩崎恭子以来の「びっくり」メダリストが誕生した。100メートル平泳ぎ決勝で、鈴木聡美(21=山梨学院大4年)が大外の第1コースから猛追し、1分6秒46で銅メダルを獲得した。6コースのラーソン(米国)がフライングしたのを見て緊張がほぐれ、自分の泳ぎに集中。下馬評を覆す3着で、寺川、入江に続く、日本競泳史上初の1日3個のメダルとなった。

 不測の事態が、鈴木を落ち着かせた。緊張感が張り詰めるスタート。6コースのラーソン(米国)がフライングし、一人先にプールに飛び込んだ。騒然とする会場。そんな中、1コースの鈴木は笑っていた。

 仕切り直しのレース。スタート反応0秒66という2番手の速さで飛び出すと、落ち着いたレースぶり。50メートルの折り返しは6番手だったが、大外から猛追。ぐいぐいと先行する選手との差を詰め、抜いていく。最後のタッチ勝負。スタート台に3つのランプが点灯した。女子100メートルでは、日本競泳史上初メダルだった。

 鈴木 いきなり(音が)ピッと鳴ってて、えっと思ったんですけど。「あー、びっくりした」と。ずっと笑っていました。逆に緊張がほぐれました。

 大外の1コースが、鈴木には幸いした。周りが見えず、隣の波も受けることから、不利な印象が強い。だが、鈴木はあえて逆の発想で「周りが見えない分、端のコースはしっかり自分のレースに集中できるととらえて泳いだ」。神田コーチは「色はブロンズですが、本人も大満足。よくやったということです。1コースですもんね」とたたえた。

 昨年の世界選手権(上海)。100メートルは準決勝敗退、200メートルは予選で敗退した。もともと硬くなりやすい性分。「会場の雰囲気、選手のオーラに圧倒され、自分に負けてしまった」。その悔しい思いを糧にした。福岡・九産大九州高時代、全国大会で個人種目を制したことはなく、いつも5番手。そんな経緯もあって、座右の銘は「捲土(けんど)重来」。1度敗れた者が、再び勢いを盛り返し、巻き返すことの例えだ。昨年、東海大での大会に出場した際、イベント参加していた書道家の破留(はる)氏に「捲土重来」と書いてもらった。その言葉を寮の部屋に張り、毎日見ることで、自らの闘争心をあおった。

 昨年の苦い経験を踏まえ、この1年取り組んできたのが「スポーツライフ・マネジメント」だ。食べることが好きで、太りやすい体質。日常の食生活から改善することで、自分の体重をコントロールし、体を絞り込んだ。減量に苦しむ娘に対し、実家のある福岡から母裕子さんが月に1度のペースで山梨を訪れ、体調管理をサポート。家族の支えがあっての、「捲土重来」の銅メダルだった。

 次は200メートルでのメダルを狙う。「100メートルで勢いがついたので、200メートルは予選からしっかり落ち着いて、ペースを守って、予選から攻めるように気持ちでしっかり泳ぎたい」。鈴木は明るく、大きな目を輝かせた。【佐藤隆志】

 [2012年8月1日9時4分 紙面から]



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競泳評論・高橋繁浩

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元五輪代表の高橋繁浩氏(中京大教授)が五輪競泳を評します。

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