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新ヒロイン鈴木聡美 故郷祝賀パレードだ

3位に入り笑顔でガッツポーズする鈴木(撮影・たえ見朱実)
3位に入り笑顔でガッツポーズする鈴木(撮影・たえ見朱実)

 シンデレラガールの誕生に、故郷が喜びに沸いている。福岡県遠賀(おんが)町出身の鈴木聡美(21=山梨学院大)がロンドン五輪の競泳女子100メートル平泳ぎで銅メダルを獲得した。人口約1万9000人の小さな町。町役場は7月31日、「特に名産もなく、町の歴史が始まって最初の有名人」と大興奮の様子だった。早くも祝賀会や町内パレードなどのプランも浮上している。

 空が少し白みかけた31日午前3時すぎ、遠賀町中央公民館には、約70人の町民が集結していた。鈴木の祖母・入江春代さん(79)、姉鮎美さん(24)も声をからしながら、泳ぎを見つめた。テレビ画面に銅メダル獲得を示す「3」が浮かび上がると、会場全体に「バンザイ、バンザ~イ」の大合唱が響き渡った。鈴木と同じ町内のオールウェイズスイミングスクールに通っていた福地美幸さん(21)は「よく頑張ったと言いたいです」と言葉を詰まらせた。町全体が祝賀ムードに包まれていた。

 電車なら、東の小倉まで約30分、西の博多までおよそ1時間。宅地以外は田畑が続く。町役場の広報担当は「農業中心の町。特産品は米とシソとフキぐらい。今までテレビに出るような有名人は誰一人としていなかった。どえらいことになった」と、突然のメダリスト誕生に驚きっぱなしだった。

 鈴木は五輪代表入りが決まった後の5月1日に表敬訪問していた。町役場では壮行会も企画したが「練習に専念したい」という本人の意向を尊重し、マスコミから伝わる情報をキャッチしながら静かに見守った。それから約3カ月。期待以上の銅メダル獲得に町は大いに盛り上がっている。町生涯学習課では「帰国して遠賀町に戻っていただけるタイミングで盛大に祝賀会を開きたいと思います」。

 関係者によると、左右に商店街が並ぶ町の目抜き通りをオープンカーでパレードする構想も浮上しているという。町の象徴のショッピングセンター「ゆめタウン」から国道3号を横断し、町役場に至る約600メートルの道を使用する計画だ。

 小麦色の肌、大きな瞳、さわやかな笑顔、背筋を伸ばしてきれいなハキハキとしゃべる姿は、スポーツ界の新ヒロイン誕生を予感させる。町商工会は「洋菓子店もいくつかあるから、鈴木さんをイメージしたお菓子なんかいいかも」と新しい名産品も期待していた。

 [2012年8月1日9時36分 紙面から]



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