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内村2度落下…不吉な初日/体操

鉄棒でバーをつかみそこね落下する内村(撮影・田崎高広)
鉄棒でバーをつかみそこね落下する内村(撮影・田崎高広)

<ロンドン五輪:体操>◇28日◇男子団体予選

 体操ニッポン復活に黄信号がともった。体操男子の日本は、団体総合予選2班を終えた時点で暫定3位。最初の鉄棒からエース内村航平(23=コナミ)が落下するなどミスを連発。前半3種目で3人が計5度落ちる最悪のスタートだった。後半は持ち直して同じようにミスが続いたライバル中国を抜いて合計270・503点。点数は進出を決めた30日の団体決勝には持ち越さないとはいえ、悲願の王座奪回に不安が残った。

 まさか…。内村が鉄棒、あん馬で落ちた。誰も寄せ付けない正確で美しい体操が、音を立てて崩れていった。前半3種目でトップバッターを務めた田中3きょうだいの兄和仁がミスを連発。悪い流れがミスの連鎖を生んだ。「チームの流れをつくろうと思ったが、それができなかった」と、悔しそうに振り返った。

 最初の鉄棒で、田中和がひねり大逆手の右手をつかみ損ねた。続く山室は倒立で止まった。内村は終盤の離れ技、F難度のコールマンで落下。最終演技者の田中佑も、離れ技のコバチで落ちた。技の正確さを示すE得点(実施点)は、日本の武器。10点満点中9点台が当たり前だったのに、全員が7点台だった。信じられないスタートだった。

 予兆は、25日の本番会場での練習にあった。内村がこの日と同じコールマンとリューキンで落下した。硬いはずのフランス製の器具が、会場では台上に乗るため、予想外に軟らかかったと考えられる。最初の2種目でミスがあった鉄棒と床運動は、特別種目として強化してきたもの。しかし、予選に関しては努力が実らなかった。内村も「応援してくれた人に申し訳ない。今日まで何をやっていたのか分からない」と、力なく話した。後半はミスをなくして挽回。最後の平行棒で田中和、加藤、内村が高得点を出して中国を逆転して3位に入った。それでも田中和は「失敗したのが今日でよかったと思えるよう、決勝で頑張るしかない」と話した。

 決勝は、予選の点数を持ち越さない。そのため、金メダルに向けて、やり直しができる。しかし、予選が4人演技して上位3人の合計だった得点は、決勝では3人が演技し全員の合計となる。この日のようなミスは許されない。大きく構想が狂った体操ニッポンが、崖っぷちからはい上がる。

 [2012年7月29日8時53分 紙面から]



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