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内村銀!3個目メダルでドヤ顔締め/体操

最後の着地をピタリと決め、ガッツポーズする内村(撮影・田崎高広)
最後の着地をピタリと決め、ガッツポーズする内村(撮影・田崎高広)

<ロンドン五輪:体操>◇5日◇男子種目別床運動決勝

 最高の美しい演技でロンドンを終えた。体操男子種目別の床運動決勝が行われ、個人総合を制した内村航平(23=コナミ)は、15・800点で銀メダルだった。3位アブリャジン(ロシア)とは同点だったが、正確な演技を表すEスコアで8人中最高の9・100点をマークした内村が規定により2位となった。鄒凱(中国)が2連覇を達成した。床運動では92年バルセロナ五輪での池谷幸雄の銀以来となる日本人のメダル。内村は全日程を終了し、金1、銀2の計3個のメダルを獲得した。

 すがすがしい笑顔だった。内村のロンドンが終わった。1番手で登場した得意の床運動。最後の後方宙返り3回ひねりの着地は微動だにしなかった。両手でガッツポーズ。「最後にいい演技ができた。自然に笑みがこぼれた」。2番手で登場した鄒凱に0・133点差で敗れた銀メダル。しかし、内村は「悔いがない」と、出し切った。

 昨年の世界選手権の床運動で、“誤審”を招いたG難度の大技「リ・ジョンソン」は封印。代わりに、3回半ひねりと1回ひねりのコンビを入れ、安定感を求めた。技の難度を表すD得点は6・7点で変わらない。鄒凱のDスコアは6・9点で、そこで0・2点差をつけられた。

 しかし、内村が目標とする「世界一美しい体操」は揺るがない。美しさや正確さを表すEスコアは、8人中最高の9・100点。DスコアよりEスコア勝負で挑んだだけに「すごくうれしい。銀メダル以上の価値がある」と、最後の演技で、ようやく納得のいく体操を披露した。

 床運動には、人一倍の思い入れがある。父和久さんが柳川商(現・柳川高)時代に、高校総体で優勝したのが床運動だった。子供の頃、その父の金メダルを見て、「パパを抜いてオリンピックに行く」と話した。その思いは、08年の北京五輪で現実となった。

 内村の中では、五輪床運動の金メダルが、父を超える証しだった。内村も父と同じく高校総体の同種目で優勝した。しかし「優勝しただけじゃ同じ。全日本でも優勝しているけど、まだ超えている感じがしない」。この日、父を超える金メダルに挑んだが、思いは持ち越しとなった。

 個人総合の金メダルに、団体総合と床運動の銀メダル。満足してもいい結果に思えるが、内村が求めていたものは違う。当初の目標だった最大5個の金メダルには及ばなかった。「反省ばかり。あらためて(五輪で)金メダルを取ることの難しさを痛感した」。

 父を超えるチャンスは、また4年後に訪れる。リオデジャネイロ五輪を目指すかという外国報道陣の質問に「もちろん、そのつもりです」と力強く答えた。ロンドンは終わったが、この日から、リオへの道がスタートする。【吉松忠弘】

 ◆内村航平(うちむら・こうへい)1989年(昭64)1月3日、北九州市生まれ。3歳で長崎・諫早市に移り、両親が経営するクラブで体操を始める。15歳で単身上京。日体大に進学し、08年北京五輪では団体と個人総合で銀メダル。09~11年世界選手権個人総合で前人未到の3連覇を達成。両親と妹春日(はるひ)の4人家族で、全員が体操をする。160センチ、54キロ。

 ◆体操競技の採点 技の難度を示すDスコア(演技価値点)と演技の完成度を示すEスコア(実施点)の合計点で争われる。Dスコアは2人のD審判が演技構成から算出。Eスコアは5人の審判が10点からの減点法によって算出し、上下のスコアを除いた3人の平均点を基準点とする。かつては10点が演技の最高点だったが、06年に現行の採点法を採用。Dスコアには上限がなく、年々最高スコアが更新される種目もある。

 [2012年8月6日9時12分 紙面から]



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