日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。



体操 Gymnastics
  1. トップ
  2. ニュース
  3. フォト
  4. 日程&結果
  5. 選手名鑑
  6. 競技メモ
  7. メダル史

日本銀 一度は4位から“逆転”/体操

つり輪の演技をする内村(撮影・田崎高広)
つり輪の演技をする内村(撮影・田崎高広)

<ロンドン五輪:体操>◇30日(日本時間31日)◇男子団体総合決勝

 日本が大混乱の末に銀メダルを獲得した。体操男子の団体総合決勝が行われ、日本は2大会連続で2位となった。予選で不調だったエース内村航平(23=コナミ)は安定した演技を取り戻したが、最終種目のあん馬のフィニッシュで失敗。その採点を巡って日本チームが抗議し、1度は4位と発表された順位が、2位に繰り上がった。中国が2連覇を果たした。

 最初のつり輪で内村、田中佑、山室が高得点を挙げて好スタートを切ったが、ミスを連発した予選の悪い流れを完全に断ち切れない。続く跳馬で、スペシャリストの山室が着地で両手と顔をマットにうずめ、左足を負傷。予定していたあん馬を欠場した。中国との点差が開き始めた5種目目の床運動でも田中和がミス。追撃の勢いを失ってしまった。

 日本は金メダルの大本命として、ロンドンの地を踏んだ。だが予選で、個人総合を含めて5冠を狙う世界王者の内村が鉄棒とあん馬で落下するなど、チーム全体でミスを連発。中1日の短期間で心身ともに修正を迫られた。決勝は予選の得点を持ち越さないのが救いだったが、今大会から3人が演技して全員の合計得点で争う新方式。ミスがすべて順位に直結するプレッシャーは大きかった。

 予選終了後、全選手が腹を割って意見をぶつけ合った。悲願達成への思いと団結を再確認し「自分たちを信じよう」と声をそろえて決勝に臨んだ。04年アテネ大会での団体金にあこがれ「個人よりも団体で金メダルを取ることしか考えていない」と繰り返してきた内村は、重圧の大きいトップバッターで演技したつり輪を皮切りに、ただ1人、全6種目に出場。予選で落下した鉄棒ではG難度の伸身コールマンを決め、左拳を突き上げてみせた。エース復活を印象づけることで悪い流れを変えようと、必死だった。

 5種目目の床運動では、18歳の新鋭で五輪初出場の加藤が伸び伸びとした演技で高得点を挙げるなど、最後まで逆転優勝への望みをつなぎ、中国の背中にしがみついた。だが、最後のあん馬でも落下者を出すなど、不慣れなフランス製の器具に対する違和感を払拭(ふっしょく)しきれなかった。難易度の高い技を各種目で決めた前回大会王者との実力差は、最後まで埋まらなかった。

 団体総合で悲願達成を果たせず、残るは個人でも厳しい戦いを強いられる。体操ニッポンの復活を果たせなかった悔しさをぶつけるしかない。

 [2012年7月31日8時38分 紙面から]



五輪体操コラム

Nikkan Olympic Gymnastics Columns
体操評論・米田功

体操評論・米田功

アテネ五輪団体総合金メダリストの米田功氏が五輪体操を評します。

内村の強い思いに他が追いついていない[9日10:45]